恐竜・白亜紀ゆるゆる学習帳

恐竜、古生物好きのブログです。中世代、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀、恐竜、首長竜、魚竜、翼竜、大量絶滅・・・その時、何が起きたのか?

「フタバスズキリュウ」をめぐる研究者のもうひとつの物語

フタバスズキリュウ

日本で発掘された中で、一番有名な竜。

多くの子どもたち、そして大人たちにも親しまれているドラえもんの映画のキャラクター、ピー助のモデルになった(と言われている)首長竜です。

 

みなさま、こんにちは。

白亜紀が好き!です。

 

学名では「Futabasaurus suzukiiフタバサウルス・スズキイ」と言います。

和名「双葉鈴木竜」、漢字での表記があったのですね。なんかカッコイイ。

でももしかすると、今もフィーバーぶりが記憶に新しい、「ムカワリュウ」の方がメジャーなのかな?

 

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フタバスズキリュウ もうひとつの物語 佐藤たまき


 

恐竜大好き少女が首長竜の研究者になるまで

 

本書は、一人の恐竜大好き少女が、首長竜の研究者として独り立ちするまでの苦闘の物語を描いています(わりとユーモラスですが)。

 

概要

 

一応基本情報を載せておきます。

フタバスズキリュウ(和名:双葉鈴木竜、学名:Futabasaurus suzukii )は白亜紀後期サントン階(約8500万年前)に日本近海に生息していた首長竜。爬虫類双弓類プレシオサウルス上科エラスモサウルス科に属する。日本国内で化石が初めて発見された首長竜として著名。発見から38年後の2006年にようやく新属新種として正式に記載された。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』フタバスズキリュウ より

 

しかしながら、この本はフタバスズキリュウについてについて詳しく解説した本ではありません。

一人の古脊椎動物、爬虫類という超マイナーな(失礼!)分野の研究者、佐藤たまきさんの奮闘記です。

 

さいころは恐竜が大好きだったという少女。

大人になって、当然のように恐竜研究者を目指します。

 

古生物研究者としての苦労話が面白い

 

ですが、当時は恐竜の研究が日本国内では十分にできない、また他に女性研究者もいない(そもそも理系を専攻する女性自体が少ないというのが現実)。

恐竜から首長竜の研究者へと変わっていった経緯。

研究を続けるために北米に留学することになるのですが、当地での学生生活や研究生活、就職活動の苦労などが面白く描かれた物語です。

 

ところが気負ったところがまったくない、ユーモアたっぷりの文章で、苦労話が苦労っぽく感じられないところやクスっとさせてくれるような場面がたくさんあります。

 

小難しい表現も使われていません。

初志貫徹の大切さとか、夢を追い続けることの尊さとか、大切なことを教えてもらっているような気もします。

今だからこそ是非、多くの中高生に読んでほしい一冊です。

 

 

フタバサウルス・スズキイの名付け親に

 

さまざまな苦難を乗り越え、ついに「フタバサウルス・スズキイ」の名付け親になる日が来ます。

 

フタバサウルス・スズキイの由来

 

 本書のクライマックスは「フタバサウルス・スズキイは新種の首長竜である」と、彼女が書いた論文が認められた瞬間でしょう。

 

ちなみに、名前の由来に関してですが、発見された地層の「双葉」層群(福島県いわき市)の「フタバ」と、化石を発見した鈴木直さんの苗字の「スズキ」を取ったそうです。

フタバサウルス属のスズキイという新種(末尾のイはラテン語の語尾変化で男性を表すそうです)ということ

 

もう一つ、発見されたのは1968年。50年以上前です。

かすかに記憶がありますが、その頃は「日本には大型の恐竜などはいなかった」「大型爬虫類の化石は出土しない」とする説がまだまだ根強くあった時代だったような・・・

 

当時、高校生だった鈴木さんが「化石はあるはずだ」との信念?で探し当てたものだそうです。

このあたりの話も、若い、特に研究職を目指している方たちに伝えたい逸話です。

 

正式に名付け親に

 

話がだいぶ逸れました。

この時(2006年5月)の報道は、何となくですが覚えています。

かなり注目を集めていましたよね。

 

この論文が認められたことにより、佐藤たまきさんが「フタバサウルス・スズキイの正式な名付け親」になります。

 

日本とカナダを行き来しながら論文を書くのはかなり大変だったろうと思うのですが、彼女のキャラクターがその大変さを感じさせません。

そうそう、その頃の話もかなり面白いのですが、その面白さの大部分がそのキャラクターにあるのではないかと?

 

今は研究者としても教育者としてもご活躍の著者ですが、実にひょうひょうとした研究者らしく見えない(個人的感想)彼女のイメージが、本書の最大の魅力なのかもしれません。

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