日本にもこんなに恐竜がいた!「楽しい 日本の恐竜案内」
「楽しい 日本の恐竜案内」は株式会社平凡社より発行されている「太陽の地図帖」シリーズの中の1冊。
文字通り、これまで(2018年ごろ)までに発見された恐竜たちと、その発掘の舞台となった町や発掘にたずさわった人々のエピソードなどを紹介しています。
恐竜を訪ねて日本各地を旅する、なんていう旅企画も面白いのではないでしょうか?
かつて日本にもたくさんの恐竜がいた
「楽しい 日本の恐竜案内」には数多くの日本の恐竜たちが紹介されています。
お恥ずかしながら、日本でもこれだけ多くの恐竜化石が発見されているとは知りませんでした。
ニッポノサウルス、むかわ竜(カムイサウルス)、モシリュウ、フクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタン、フクイベナートル、タンバティタニス、etc
まだまだ他にも数多くの恐竜化石が! 日本にもたくさん!
特に、近年、新属新種とされる恐竜化石の発見が相次ぎ、大きな話題にもなっていますよね。
カムイサウルス・ジャポニクスやヤマトサウルス・イザナギィ、等々。
これからも、日本各地で大発見が続くことでしょう。大いに期待したいですね!
関連記事:ニュース「世界最小の恐竜卵、ギネス記録認定 兵庫県丹波市で発見」2020.8.5
日本では恐竜は見つからない?
以前は、40年ぐらい前かなあ? 「日本では恐竜は見つからない」といわれていた時代もありました。
「日本には恐竜いなかったのかなあ?」などと子供心に思ったものです。
そんなことも遠い昔の話。
モシリュウが発見されたときのことでしょうか?
大きなニュースになったのを、かすかに憶えています。
このモシリュウの発見が、その後の日本の恐竜ブームにつながっていくんですね。
「日本でも恐竜の化石を見つけることができるんだ!」という、ある種あたり前の事実(当時はあたり前ではなかった)が確認できたことは大きな転機になったんだろうな、と思います。
それから少しあとに、福井県でフクイラプトル・キタダニエンシスとかの化石が発見されて、日本の恐竜ブームが本格的になっていきましたよね。
けっこう保存状態の良い全身骨格の化石が発見されるようになり、そういう化石の実物を見ることができるようになったことも大きいです。
さらに、映画「ジュラシックパーク」が日本でも公開され、メキシコで隕石衝突の証拠が発見され・・・
恐竜博2019でも、本当に多くの人が国立科学博物館に足を運んでいました。
関連記事
国立科学博物館の真鍋真先生の本:最新の恐竜常識を学ぶための教科書『大人のための恐竜教室』
恐竜をめぐる旅の提案
「楽しい 日本の恐竜案内」は、恐竜の専門的な解説をする本ではありません。
「恐竜をめぐる旅っていうのも、たまにはいいよね」という大人に向けた、旅の提案書です。
読み物として面白く、想像力を刺激されるようなというと、お分かりいただけるでしょうか?
もちろん、恐竜についての解説もなされています。しかし、それよりも化石を発見した人、発掘現場、町、発掘のエピソードや博物館の紹介などがメインです。
北海道むかわ町、群馬県神流町、福井県勝山市、兵庫県丹波市、いずれも現在、恐竜の里として知られる町ですね。
これらの紹介記事を読んでいると、各地の博物館や発掘現場をとっても訪れてみたくなります。
恐竜をめぐる旅をするなら、化石発掘体験とか化クリーニング体験なんかができるといいですよね。
モノからコトへ、これは数年前から観光業などで盛んに唱えられている合言葉。
せっかく時間とお金を使って旅をするのなら、単なる観光地巡りではなく「何かを体験する旅」というのがいいですね。
その土地ならではの体験ができるというのは、大きなポイントです。
関連記事
福島県の「双葉」層群で見つかった首長竜をめぐる話:「フタバスズキリュウ」をめぐる研究者のもうひとつの物語
最後に
「楽しい 日本の恐竜案内」のような旅の指南書が、恐竜をターゲットにして出されるというのは、非常に嬉しいことでもあります。
この本で日本の恐竜に興味を持ち、各地の博物館や発掘現場を訪れ、恐竜についてさらに深く知りたくなる。
そんな時はとても勉強になる本もたくさんあります。
今は、大学や博物館などで開催されるセミナーや講演会なども参加してみると面白そう。
特に、この2年ほどはウェブでのセミナーなども盛んに行われているようです。
ウェブセミナーなら、場所を選ばないので、参加しやすくなりますよね。
ちょっと横道にそれてしまいました。要するに言いたかったことは、「恐竜を学ぶことは、それだけ面白い」ということです。
毎年のように新しい発見があり、過去のデータがどんどんと書き換えられ、つぎつぎに知識をアップデートしていかなければなりません。取り残されてしまう。
恐竜学習には、ホントに興味が尽きることがありませんね。
恐竜の絶滅の原因は何か?「決着!恐竜絶滅論争」岩波科学ライブラリー186
約6,600万年前の白亜紀末期、それまで地球上で最も栄えていた恐竜が、突如として絶滅の危機に瀕しました。
そう、鳥類を除いた恐竜はこの時に絶滅します。
「決着!恐竜絶滅論争」は恐竜絶滅の原因をめぐる科学者の論争を解説した本です。
みなさま、こんにちは。
カズヒロ@ウォーカーです。
もちろん恐竜絶滅の原因についても詳細に解説はされています。
皆さま、ご安心ください。
恐竜絶滅の原因論争
「決着!恐竜絶滅論争」は、今は定説となっている恐竜絶滅の原因「小惑星衝突説」について、さまざまな論争を経て定説となった経緯について書かれています。
一般社会に広まりつつあった誤解を解くため
小惑星衝突説は1980年に発表された論文が元になっています。
その後、チチュルブクレーターが発見されるなどして、徐々に定説となっていきます。
*チチュルブクレーター:メキシコ ユカタン半島にある小惑星衝突跡
一方、世間一般には、「研究者の間でも、まだまだ論争が続いている」、「いや、実は違ったんだよ」というイメージすらあったと。
学会、研究者とメディア、あるいは世間一般の間のにあるギャップ。
これは小惑星衝突説をとる研究者たちがキチンと情報発信してこなかった、あるいは情報発信が足りなかったために起こった。
かたや、小惑星衝突説を否定するような論説は目立ちますし、インパクトもある。
世間に誤って広められることもあるでしょう。
ここが問題だと認識し始めた一部の研究者が、正確な情報を発信しようと動き出します。
大量絶滅の謎を解くカギ
「決着!恐竜絶滅論争」に記されている絶滅の原因について、細かくは書きません。
ただし、白亜紀末に絶滅してしまった生物と絶滅を免れた生物の比較から得られたキーワードを述べます。
本書によると、
光合成
K/Pg境界直後の様子
淡水
酸
北半球
だそうです。
*K/Pg境界:白亜紀/古第三紀の境界のこと 約6,600万年前
絶滅原因論争において重要なキーワードで、これらを全て説明できる説でなくてはならないとされています。
絶滅を免れたのは?
白亜紀末の大量絶滅時代を生き延びたのは、鳥、哺乳類、淡水に住む爬虫類、両生類などの一部です。
重要なのが、光合成生物に依存していないということ。
食物連鎖ならぬ、「腐食連鎖」の環の中にいた生き物たちです。
*腐食連鎖:落ち葉、朽木、菌類、昆虫、生物の死骸などを食べる生物の連鎖
もう一つ、「淡水環境」です。
なんか不思議ですよね。
腐食連鎖は分からなくはないのですが、淡水に生息することが、なぜ大量絶滅を生き延びられることにつながるのか。
淡水に生息しているだけで生存確率がグッと上がる。
この不思議な現象も、もちろん小惑星衝突説では説明されています。
いくつかの反論
ここで、「決着!恐竜絶滅論争」に記されている反論について少し。
反論1:漸進的絶滅説
恐竜は長い年月の間に、環境の変化などにより徐々に数(個体数や種類)を減らしていき、最後には絶滅したとする説。
反論2:火山噴火原因説
デカントラップという、とんでもない規模の噴火が気候変動や大気汚染を引き起こし、恐竜を絶滅させたとする説。
*デカントラップ:インドのデカン高原にある白亜紀末から古第三紀にかけて噴出した玄武岩層のこと
反論3:小惑星衝突無関係説
文字通り、小惑星衝突は恐竜の絶滅に無関係だった、与えた影響は非常に軽微だったとする説。
各論の検証
「決着!恐竜絶滅論争」の5章で双方の論の検証が書かれています。
個人的に、この章が本書の中でもっとも読みごたえのある部分だと思っています。
小惑星衝突説の検証
先に提示した五つのキーワード、光合成、K/Pg境界直後の様子、淡水、酸、北半球を説明されます。
ここで、私が一番疑問だった「淡水」に対する回答も得られました。
この解説は素人の私にも分かりやすかったです。
あ~、スッキリした。
ここで解説すると長くなりますので、興味のある方はぜひ、本書を読んでみてください。
反論の検証
当然、反論に対し間違っているところ、不十分な内容の指摘なども分かりやすく解説されています。
特に、原因説としては、小惑星衝突説に対立する「火山噴火説」の不確かさをできれば、小惑星衝突説に有利になりますよね。
まあ、ここはキチンと論破しているのですが。
そして、「衝突説では説明できない。だから火山噴火説が正しい」では話にならないと、著者は語っています。
最期に
「決着!恐竜絶滅論争」はページ数もさほど多くなく、内容も科学論争を扱っているにしては理解しやすいと思います。
案外すぐに読めてしまいますが、内容は深いです。
K/Pg境界の入門書としても非常に優れた本ですね~。
それでも、まだまだ解明しなければならない謎も数多く残っていると著者は語ります。
論争には一応の決着がついた形ですが、新たな研究成果に基づく新たな恐竜絶滅原因論争も見てみたい気もしますね。
ティラノサウルスの全身化石【スタン】が33億円で落札
いやいや、ビックリ!です。
33億円!! ですよ。
世界中で大人気のティラノサウルスの全身の化石とはいえ、いくらなんでも・・・
みなさま、こんにちは。
カズヒロ@ウォーカーです。
ティラノサウルス全身化石が33億円で落札される
下記がその記事です。
2020年10月6日、そのスタンがオークション会社クリスティーズで競売にかけられ、3180万ドル(日本円で約33億円)で落札されるという事態が生じた。落札額は化石の競売としては最高額だ。落札者が誰なのかは今のところ(20年10月13日現在)明かされておらず、専門家はスタンが永久に科学の世界から失われてしまうのではないかと懸念している。
Yahoo!ニュース:「33億円で落札のティラノ全身化石、今後の研究に懸念も」より 2020/10/16配信
そもそも、この記事のタイトルを読んだ人は、たいていの人が疑問に思うのではないですかね?
なんで、そんなものが売られちゃうの?って。
買う人がいるんだ。
で、ティラノサウルスの全身化石を買った人は何がしたいの?と。
なぜ、T・レックスの化石が売られてしまうのか?
なぜなのでしょうね?
日本の私たちからすると、すごく不思議なことなのですが、他国ではこういう取引(自然遺産の)は普通なんでしょうか?
だいたい、ティラノサウルスの全身化石を買おうってヤツがいること自体が驚き。
要約するとですね、ブラックヒルズ研究所の取締役なる人物がビジネスでのトラブルで取締役を解任された。
これに対して、その元取締役は研究所に財産を売って自分の持ち株への支払うよう要求した。
裁判所も、「スタン(T・レックス化石の愛称)」を売って、元取締役氏へ支払いなさいと命じた。
ただし、売った後も研究所はスタンに関する権利を持ち続けている。
簡単に言うと、「金を払うために、ティラノサウルスの化石を売った」ということですねえ。
スタンの落札者は誰?
T・レックスの化石を落札したのは研究機関などではないそうです。
つまり、誰かの私物。
個人の所有物ということになれば、公開されるかどうかも分からないし、研究したい人たちが自由に研究することも難しくなるのかな?
う~ん、一般公開して欲しいですね。
(見に行けるかどうかはともかく)見てみたいです。
どうか、落札者が心の広い人でありますように・・・
恐竜化石発掘、その他の問題点
化石の発掘やその取扱いについては、他にも問題点がありそうです。
恐竜に関する詳しい情報本について記事を書きました:最新の恐竜常識を学ぶための教科書『大人のための恐竜教室』
国有地か私有地か
記事によると アメリカ合衆国の場合、国有地で発見された化石=公共の財産、民間の土地で発見された化石=売買可能、だそうです。
国有地で発見された化石は、研究できる者が限られる、公共の利益にかなうように利用される、保管場所も限られるなどの縛りがあります。
これに対して、民間の土地で発掘された化石は自由に売買できるため、研究に供するよりも儲かるとなると・・・
しかも貴重な化石であるほど、「高く売れる!」ということになれば、売る方を選ぶ人が増えることが予想されますよね。
公共の研究機関には出せない額
スタンのように超有名な化石(ティラノサウルスの全身化石)ともなると、そもそも値が張るでしょう。
そこに輪をかけるのが注目度です。
宣伝されればされるほど、入札者が引き付けられます。
化石の値段もどんどん高くなり、研究機関などの予算では太刀打ちできない額になります。
当然、他の用途に予算を使うことを要求されますよね。
競売が正しいのか?
これは、最初に思ったことです。
誰か作者がいる作品であれば、自由に売り買いする場に出すのは当たり前ですが、化石は誰が持ち主というものではないです。
自然の遺産ですから、競売ってどうなんでしょうか?
今回のT・レックスの化石も、2人の入札者が競り合ったために高額なものになったと言われます。
ちょっとどうなの?って思いますよね。
転売できるようなモノでもないですし、自分だけで見て楽しむ?
あるいは、とんでもない大金持ちの研究者で、自分だけでやりたいように研究する?
いずれにしても、落札者の情報は無いようです。
古生物学者たちが、このティラノサウルスの化石‐スタンの新しい所有者に対し、「標本を博物館か研究機関へ寄付するよう呼びかけている」とあります。
でも、寄付するぐらいなら最初からこんな高額で落札しないでしょうし、何を考えているのやら。
まあ、化石を商品として扱うことが良いかどうかは、神のみが知ることなのかもしれませんね。
ジュラ紀の恐竜「ジュラヴェナトル」のウロコは「外皮感覚器」か
ジュラ紀の恐竜に奇妙なうろこ、敏感な感覚器か
―尾に残っていた皮膚化石は、現代のワニにそっくりだったー
ジュラヴェナトルのウロコはワニによく似ていた
ジュラヴェナトル・スタルキ(Juravenator starki)は、約1億5000万年前のジュラ紀、現在のドイツに当たる地域に生息していた恐竜だ。2020年10月5日付で学術誌「Current Biology」に発表された最新研究によれば、ジュラヴェナトル・スタルキの尾のうろこには感覚器官があり、それをうまく使って夜中に魚を捕っていたという。この感覚器官は、現代のワニ類に見られる「外皮感覚器」とよく似ているという。
Yahoo!ニュース:「ジュラ紀の恐竜に奇妙なうろこ、敏感な感覚器か」より 2020/10/8配信
ジュラヴェナトルの化石の特徴
- ジュラヴェナトルは小さい
- 化石は1体しか見つかっていない
- 全身の骨格が完璧に近い状態
- 一部だが軟組織まで残っていた
- ウロコに特徴的な模様がある
といったもの。
皮膚やウロコのような軟組織が化石になること自体が大変に珍しいのでしょうね。
普通、微生物に分解されてしまいますからね。
でなければ、恐竜の表面部分がウロコか羽毛かで大論争などになりませんよね。
でも、そのうちに非常に状態の良い、皮膚組織が残されている化石も見つかりますよ。
きっと。
要約
この、ジュラヴェナトルのウロコの特徴は、現在のワニのウロコに非常に近い。
ワニはウロコの感覚器を使って獲物の動きを察知する。
ジュラヴェナトルのウロコが同じような機能(外皮感覚器)を持っていたとすると、この小型の恐竜は水中でエサを取り、夜行性だった可能性がある、ということです。
食料を得るのに、視力だけに頼らなくってもよかったということかな?
現在の生物から、過去の生物を考える
比較ですね。ワニやカメなどの爬虫類や鳥類などの特徴と比べるとどうなのか。
とか、どこに目をつけて調査・研究するのかがポイントになりそう。
現在のワニとの比較
というか、ワニの皮膚にあるウロコに感覚器官としての役割があるって知りませんでした(^_^;)
いろいろ、勉強になります。
ワニにはこんなウロコが付いている、そしてそれはこんな特徴があって、こんな機能を持ってる。
ということが分かってて、ジュラヴェナトルにも似たウロコがあった、特徴がそっくりだから似た機能を持っていた可能性がある。
こういうことを一つ一つ丹念に調べ上げて、一体の恐竜像を作り上げる。
ウロコ一つがどうだとか、骨の付き方がこうだとか、ここのコブが何だとか。
まったく、途方もないですね。
ホントに恐竜とか太古の生物(化石)が好きなんでしょうね。
古生物学者の皆さん。相当好きじゃなきゃできませんよね。
たとえば、ワニを含む爬虫類との比較でいうと、爬虫類と恐竜の違いは何か?というのがあります。
巨大爬虫類である恐竜は、何をもって恐竜というのか?
こんなことも最近学んだ一つです(足の付き方、恐竜は足が胴体の真下に付く)。
それに、そもそもワニやカメなどの爬虫類、は白亜紀末の大量絶滅期を生き延びた種だというのも、最近知った話です。
なので、もしかしたらワニと恐竜って案外遠い関係なのでは?
なんて素人考えで思ったりします(多分近いです)。
派生する学問についても学べる楽しさ
恐竜についていろいろ学び始めて面白いことに気づきました。
恐竜について知ることは、当然その頃の地球のことを知ることにもつながります。
他の生物についても同じ。同じ時代に生きていた哺乳類は?とか。
いろんな関わりのあることについて学ぶことができます。
そんなことがとても面白く感じるようになってきました。
仕事の実務などにはまったく活かせませんが、これからの人生を豊かに過ごすための助けになってくれそうです。
このあたりの話については、以下の記事で紹介した書籍が参考になると思います。
〇関連記事
恐竜の名前(属名)にはどんなモノがあるのでしょう?
たくさんの恐竜がいて(いた)、その1つ1つに名前(学名)がつけられています。
たとえば、人間(ヒト)の学名はホモ"Homo(属名) " ・サピエンス"sapiens(種名)"。
今日は恐竜の名前のうち、属名のほうに注目してみたいと思います。
みなさま、こんにちは。
カズヒロ@ウォーカーです。
恐竜の属名って、どんなのがあるのでしょうか?
興味の始まりは、恐竜に関する本を読んでいて、ふと「この名前の意味って?」と思ったことでした。
そして、何となく名前の由来とか、その名前がついた経緯が気になったのでした。
トリケラトプス←この後ろの部分。
ということで、いくつか代表的な名前を調べてみました。
恐竜の名前はどうやって決まるの?
ムカワリュウ、去年話題になりましたよね。
この名前は本当の名前ではない?ニックネームだそうです。
本当は「カムイサウルス・ジャポニクス」ですね。
国際動物命名規約
「国際動物命名規約」という世界中での共通の約束ごとがあります。これに従って名前が付けられています。
恐竜・古生物 Q&A:学名は、どうやって決めるの?
世界中のどこかですでに発表されている種類と区別できなければそれと同じ名前になり、区別できるようであれば新しい種類として別の学名がつけられます。新しい学名をつけるには、動物/植物それぞれの名前を付けるための決まり(命名規約 めいめいきやく)に従って、名前を決めようとする人自身が、雑誌などの出版物にその生き物の特徴を発表し、名付けます。名前はその生き物の特徴や産地、時代、採集者名などにちなんで決められます。例えば、フクイラプトルやフクイサウルスは「福井」県に、フクイラプトルの種小名キタダニエンシスは化石が発見された勝山市「北谷」に、フクイサウルスの種小名テトリエンシスは地層の名前(「手取てとり」層群)にちなんだ名前がつけられています。福井県立恐竜博物館 WEBサイトより
ティラノサウルス、トリケラトプス、 イグアノドン、デイノニクス、オヴィラプトル
本当にいろいろいますね。
そこで、恐竜の名前(属名)によく登場する単語を調べてみました。
恐竜の属名
- サウルス・サウラ(saurus・saura):とかげ ティラノサウルス、マイアサウラなど
- ラプトル(raptor):泥棒 オヴィラプトル、ギガントラプトルなど
- ドン(don):歯 イグアノドン、トロオドンなど
- ニクス(nyx):爪 デイノニクス、バリオニクスなど
- ケラトプス(ceratops):角の顔 トリケラトプス、アーケオケラトプスなど
- ミムス(mimus):似たもの スコミムス、ガリミムスなど
- ドクス(docus) 梁を持つもの ディプロドクス、アウストラロドクス
- ロン(グ)(long):龍 グアンロン、ディロング
- ケイルス(cheirus):手 デイノケイルス、
- グナトゥス (gnathus):顎 コンプソグナトゥス、ファシャグナトゥス
- ティタン・ティタニス(titan・titanis):巨人 パラリティタン、アマルガティタニス
ここに出てくるのは、ごく一部です。
これ以外にも、たくさんの属名があります。
トリケラトプスとか、絶対に「トプス」だろうなと思ってました(^^;)
「ケラトプス」だったとは・・・
その恐竜の特徴的な部分を名前の一部にしているということが、なんとなくですが分かります。
爪(ニクス)、手(ケイルス)、巨人(ティタン)とか。
ティタンとかついてれば、「ああ、この恐竜、デカかったんだろうな」って思います。
他にもいろいろありますが、何といっても、一番多く登場するのは、「サウルス」です。
さて、「サウルス」とはどういう意味なのか、というと・・・
これはみなさん知っていますよね。
「とかげ」or「爬虫類」or「竜」です。
「カムイサウルス」は「とかげ(竜)の神」という意味だそうです。
かっこいい学名がつけられましたねぇ。
「カムイサウルス・ジャポニクス」で「日本の竜の神様」という意味です。
暗黙のルールも
そういえば、以前NHKラジオ子ども電話科学相談で小林快次先生が解説をしていたのを思い出しました。
属名には人の名前はあまりつけない、特に自分の名前はつけない、みたいな話でした。
ただし、種小名(レックスとかジャポニクスのほう)には人の名前からつけることはある(フタバサウルス・スズキイとかですね)。
自分の名前を自分ではつけられないので、誰かほかの研究者につけてもらうようになるとか。
でも、もし新種の恐竜を発見したとしたら自分の名前をつけられるかもしれない、と思ったら何かワクワクしますよね。
たかが恐竜の名前、とはいえ、なかなか奥が深いものでした。
「地質時代」について知ろう‐先カンブリア時代、古生代、中生代、新生代
「地質時代」、私も聞いたことがあります。なんとなく知っている感じです。
中には超有名な「カンブリア紀」とか「ジュラ紀」とかありますよね。
みなさま、こんにちは。
白亜紀が好き!です。
「地質時代」について知ろう。
地球が誕生してからの膨大な時間をザックリと区分しましょう、というのが「地質時代」の考え方。
せっかくの恐竜ブログなので、ここで「地質時代」、どんなものがあるのかについて、一緒に学びましょう。
地質時代とは
「地球が誕生してからの歴史を地層や化石など地質学的な方法で研究し、生物や環境の変化をもとにして区分した年代のことを言う。」
4つの区分
あなたは地球が誕生してからどのくらいの年月が経っているかご存じですか?
そう、約46億年!だそうです。
この46億年を生物の進化を基準にして時代分けしたのが地質時代です。
国際年代層序表「日本地質学会」HPより
4つあります。
ただし、
地質時代は生物の進化を基準としているため、化石の新発見や、年代測定法の進歩などにより、時代の境界となる数字 (年代値) がときどき変わることがあります。世界共通に用いる年代値は、国際層序委員会 (ICS) という組織が決めています。
地質時代「栃木県の地球科学」HPより
ということのようです。
先カンブリア時代
先カンブリア時代は、
- 冥王代
- 太古代
- 原生代
の3つに分けられています。
地球の46憶年の歴史の内の40億年を占める時代です。
乱暴な言い方をすると、ほとんどの時代が先カンブリア時代。
灼熱のマグマ状態から、冷えて海ができてそこに生命が誕生する。
今、頭の中にあるぐらいのはそのぐらいのイメージです。
そもそも生命が誕生するまでが、とてつもない長い時間がかかってる。
いろいろと知りたいことがあります。
本当は各地質時代について詳しく学びたいのですが・・・凄く長くなりそうですので、日を改めたいと思います。
古生代
古生代は、
の6つに分けられています。
古生代といえば、生物の劇的な進化「カンブリア爆発」とか「バージェス動物群」、なかでも「アノマロカリス」とか、あなたも聞いたことがありませんか?
「カンブリア宮殿(テレビ東京)」とか「アノマロカリモン(デジモンアドベンチャー)」など、この時代から採られた名前ですね。
この、ペルム紀の最期、次の中生代との境目(約2億5000万年前)が史上最大の生物大量絶滅と言われる、P-T境界です。
激しい火山活動が原因とも言われますが、まだまだ地球が激しく活動していたのでしょうね、この時代は。
うわ、ここも詳しく知りたい!
中生代
そして、いよいよ中生代です。
の3つに分けられています。
ついに恐竜の時代、中生代です。
ジュラシックパークはありますが、このブログのテーマである白亜紀が含まれる中生代です。
面白くなってきました。
やっぱり、何といっても中生代でしょう。
中生代は、爬虫類の時代といっても良いかもしれません。
ジュラシックパークなどでもお馴染みのジュラ紀もこの時代ですね。
そして、中生代といえば約6,600万年前に起った白亜期末 (K-Pg境界) の恐竜絶滅大事件です。
隕石の衝突が最大の要因といわれていますが、本当のところはどうなのでしょうか?
このブログの最大のテーマは、この中生代に起こった大事件です。
新生代
そして現在の我われが生きる新生代。
の3つです。
この新生代もなかなか興味深いところがあります。
白亜紀末の大量絶滅を乗り越えて生き残った生物たち。
そこからどのように変化(進化)して現在の状態になっていったのか?
大変、興味があります。
特に、新生代に入ったあたり、K-Pg境界の直後、ものすごく知りたいことがあります。
これから勉強して、どんどんブログにも書いていきたいと思います!
恐竜学の入門書にも最適!?「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」川上和人
鳥は恐竜から進化した。いや、川上先生は、「鳥類は恐竜だ❗️」とのたまっている。
ハトを見て、恐竜と思えるかどうかは別にして・・・
「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」は、恐竜学入門の書として最適です。
え?
本職は!?
鳥を追っかけて、あっちこっち飛び回ってる研究者じゃなかったでしたっけ??
「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」は鳥類学者が書いた恐竜入門書
「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」は立派な恐竜学の書であります。
つまり、鳥類は恐竜から進化した、そうすると広い意味で、鳥類学者=恐竜学者ということになるから。
鳥類から恐竜を考える
川上和人先生は、NHKのラジオ子ども科学電話相談の人気講師でもあります。
ですが、著名な鳥類学者というのがその正体。
この本のコンセプトは、現世の鳥類から恐竜を考える、だと思います(かってにそう思ってます)。
未知の魅力が満載の恐竜学に挑む、鳥類学者。
恐竜の専門家ではないことを逆手にとって、大胆な仮説を繰り広げる。
恐竜から鳥へ。
いかにして、進化していったのか。
もしかして、こんな感じだったのではないか。
恐竜から鳥類への進化の過程を、川上先生ならではの視点と現在の事実を総動員して、優しく、読みやすく解説した書です。
その博識ぶりと文章の面白さに魅かれる
で、それはいい。
本著作の面白さは、ひとえに川上先生の書く文章と、その博識ぶりにあります。
生物学の専門家として、という以上に、え?という知識をお持ちです。
真面目な文脈に、ちょくちょく可笑しい表現をぶちこんできます。
この人は文筆家としても大成したのではなかろうか、と思えるほど。
さらには鳥、恐竜のみならず、その他の生物、爬虫類、哺乳類、虫・・・ドラえもん、ゴジラ、キングギドラまで。
その博識ぶりには驚かされます。(特に、欄外の脚注の記述は驚かされます。同時に、ああ、自由に書いているなあ、と。)
キングギドラなんてでてこないよね、普通。
関連記事:最新の恐竜常識を学ぶための教科書『大人のための恐竜教室』
研究者として大事なことは何か
ちゃんと、本書の内容に触れましょうかね。
まず、現在の恐竜学において、分かっていることと分かっていないことを、優しく丁寧に解説していること。
これ、大事。
たぶん、古生物(恐竜)学に興味を持てない人はここでつまずくのだと思います。
その点は問題なし。
分からないことにはキチンと仮説を立てる
その分からないこと、分かっていないことにたいして、(多少乱暴ではありますが)想像されること、あるいは、こうだったに違いない!という仮説をキチンと提示しています。
そして、その部分が「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」を読むうえでの醍醐味にもなっています。
たぶん、読者も仮説、進化の可能性とでもいうところでしょうか、一番知りたいと思っていることでしょう。
ただ、少々飛躍しすぎ?
いやいや、本職の生物学者ですから。
ポイントはしっかり押さえて、外しすぎてはいないと思います。
生物の進化の仕組みであるとか、逆になぜ絶滅してしまったのかとか。
かなり突っ込んだ内容の部分もありますが、表現の巧みさもあり非常に理解しやすく書かれています。
若い人たちに読んで欲しい
「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」は、中学生なら普通に理会できる内容だと思いますし、ぜひ若い人に読んでほしいと思います。
この本を読んだ若者の中から、将来、著名な鳥類学者や古生物学者が出たらイイですね。
ただ、おそらく、川上先生は恐竜人気をうまく利用して、鳥類研究へと進む若者を増やしたいのだと思いますよ。
一緒に鳥の研究をしてくれる若い人を、いっぱい増やしたいというのが本書の最大の目的なんだと思います。
鳥類学者の多少の妬み、やっかみはありそうですが、ぜひ、ご一読いただければと思います。