恐竜学の入門書にも最適!?「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」川上和人
鳥は恐竜から進化した。いや、川上先生は、「鳥類は恐竜だ❗️」とのたまっている。
ハトを見て、恐竜と思えるかどうかは別にして・・・
「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」は、恐竜学入門の書として最適です。
え?
本職は!?
鳥を追っかけて、あっちこっち飛び回ってる研究者じゃなかったでしたっけ??
「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」は鳥類学者が書いた恐竜入門書
「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」は立派な恐竜学の書であります。
つまり、鳥類は恐竜から進化した、そうすると広い意味で、鳥類学者=恐竜学者ということになるから。
鳥類から恐竜を考える
川上和人先生は、NHKのラジオ子ども科学電話相談の人気講師でもあります。
ですが、著名な鳥類学者というのがその正体。
この本のコンセプトは、現世の鳥類から恐竜を考える、だと思います(かってにそう思ってます)。
未知の魅力が満載の恐竜学に挑む、鳥類学者。
恐竜の専門家ではないことを逆手にとって、大胆な仮説を繰り広げる。
恐竜から鳥へ。
いかにして、進化していったのか。
もしかして、こんな感じだったのではないか。
恐竜から鳥類への進化の過程を、川上先生ならではの視点と現在の事実を総動員して、優しく、読みやすく解説した書です。
その博識ぶりと文章の面白さに魅かれる
で、それはいい。
本著作の面白さは、ひとえに川上先生の書く文章と、その博識ぶりにあります。
生物学の専門家として、という以上に、え?という知識をお持ちです。
真面目な文脈に、ちょくちょく可笑しい表現をぶちこんできます。
この人は文筆家としても大成したのではなかろうか、と思えるほど。
さらには鳥、恐竜のみならず、その他の生物、爬虫類、哺乳類、虫・・・ドラえもん、ゴジラ、キングギドラまで。
その博識ぶりには驚かされます。(特に、欄外の脚注の記述は驚かされます。同時に、ああ、自由に書いているなあ、と。)
キングギドラなんてでてこないよね、普通。
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研究者として大事なことは何か
ちゃんと、本書の内容に触れましょうかね。
まず、現在の恐竜学において、分かっていることと分かっていないことを、優しく丁寧に解説していること。
これ、大事。
たぶん、古生物(恐竜)学に興味を持てない人はここでつまずくのだと思います。
その点は問題なし。
分からないことにはキチンと仮説を立てる
その分からないこと、分かっていないことにたいして、(多少乱暴ではありますが)想像されること、あるいは、こうだったに違いない!という仮説をキチンと提示しています。
そして、その部分が「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」を読むうえでの醍醐味にもなっています。
たぶん、読者も仮説、進化の可能性とでもいうところでしょうか、一番知りたいと思っていることでしょう。
ただ、少々飛躍しすぎ?
いやいや、本職の生物学者ですから。
ポイントはしっかり押さえて、外しすぎてはいないと思います。
生物の進化の仕組みであるとか、逆になぜ絶滅してしまったのかとか。
かなり突っ込んだ内容の部分もありますが、表現の巧みさもあり非常に理解しやすく書かれています。
若い人たちに読んで欲しい
「鳥類学者 無謀にも 恐竜を語る」は、中学生なら普通に理会できる内容だと思いますし、ぜひ若い人に読んでほしいと思います。
この本を読んだ若者の中から、将来、著名な鳥類学者や古生物学者が出たらイイですね。
ただ、おそらく、川上先生は恐竜人気をうまく利用して、鳥類研究へと進む若者を増やしたいのだと思いますよ。
一緒に鳥の研究をしてくれる若い人を、いっぱい増やしたいというのが本書の最大の目的なんだと思います。
鳥類学者の多少の妬み、やっかみはありそうですが、ぜひ、ご一読いただければと思います。